セツナイロ




うつむいていたルナは何故か両手を強く握り、困ったように首を少し傾けて微笑んだ。
そして言った。


「アスカね、お父さんの仕事の関係で引っ越すんだって…」

「へ、へぇ…

そうなの…」



夢ならいいのに…

あたしは視線を自分の膝に向け、瞼を固く閉じた。

すると見えてくるのはアスカばかり…


アスカの笑ったとこ

怒ったとこ

困ったとこ





アスカと喋って、
笑い合って、
時には怒られて、

好きになって…





今では懐かしいアスカとの日々が脳裏に浮かんでくる。



「あのさ…」

ルナが崩れかけた笑顔で話し出す。


あたしの脳に、もろにルナの声が響いた。

「アスカをさ、3人で送り出そ?

んでさ、思い出作ってあげたいんだ。
ずっとずっと、あたしたちを忘れないように……」

キュッと瞑ったルナの瞳からは涙の雫がポタリとこぼれた。



「最後の…思い出、かぁ……」

いつ引っ越すのかは分からない。
けれど…



タイムリミットが近いのは確かだった。