突然止まった
少し前を歩くユウくん。
あたしは危うくその背中に鼻をぶつけるところだった。
「…俺ん家だけど、いい……?」
ユウくんの眼鏡の奥のブラウンの瞳が不安気にあたしを覗き込んだ。
あたしは何故か、こんな自分をその目に映してはいけないような、そんな罪悪感に駆られ、目を逸らす。
その視線の先にある高層マンション。
高級感を漂わせる白く上品な壁。
「あっ、嫌なら無理しなくていいんだ。
ただ、行くところ思いつかなくて…」
声のトーンが少しずつ下がり、ユウくんはうつむいた。
「ううん…ありがとう。」
あたしの心に昔聞いた噂が蘇ってきた。
…ユウくんは、お金持ち。
超有名な財閥の跡取り…
もしかしたらあたしもお金持ちになれるのかも知れない。
そんな気がした。



