「2つで870円です」

「はい」


財布に残り少なくなった千円札とクレープ2つを交換する。

先輩は少し離れたところでニコニコ笑って見ていて・・・・というか、クレープに釘づけで。

お釣りを受け取った俺は、落とさないよう気をつけながら先輩が待つほうへ歩いていった。


「ありがと〜、ハチ!デートでクレープ食べるの、ひそかに憧れてたんだよね〜」

「そっか。よかった」

「うんっ!」


・・・・さっきも似たような台詞を聞いたけど、ここはスルーだ。

『デートでホットドッグ!なんかのドラマで見て、ずっとやってみたかったんだよね!』って。


これで5軒目だけど、3回はこんなことを言っている先輩。

まぁ、かわいいから全然OKなんだけど。余裕で許せちゃうけど。


それにしても、なんで先輩はこんなにもかわいいんだろうか・・・・。

この満面の笑みを見ていると、それだけでお腹いっぱいになる。


「あれ? ハチは食べないの?」

「ううん、食う!」


でも、食うけど。