ヒュメル6世はベリルに顔を向ける。

「今後とも、我の力になってはくれぬか?」

「私に出来る事なら」

 だが、その言葉は王都に留まるという意味ではない。王も十分に解っていた。

 ベリルに歩み寄り、首に下げていた紋章を差し出す。

「……」

 それを黙って見つめていたベリルだが、セシエルが早く受け取れと腕をこづいた。

 仕方なくそれをベリルは受け取る。

 ヒュメル6世は優しく頷き、玉座に腰を落とす。

「大儀(たいぎ)であった!」

 その声に、戦士たちは一斉にひざまづいた。

 この王ならば、我らは従う事が出来る。そうした決意の証。

 このあと、弟王の葬儀が行われるだろう。


 皆は王宮から出て、歩きながら口々に発した。