西アフリカからの要請は内戦で取り残された村人の救出であったがしかし、集落が巻き込まれてから一ヶ月近く経っての要請ではあまりにも遅すぎた。

 元より村人を助ける気などなく、

「救出をしようとした」という体でベリルたちは利用されたのだ。

 もし、ベリルの知名度が高かったなら、他の誰かがこの惨劇を目の当たりにしていただろう。

「初めから助からなかった命だと、割り切って諦めろと言うのか」

 くすぶる焼け跡に眉を寄せる。

 カイルもこんな経験をしたのだろうか。

 苦い記憶と多くの死を乗り越えて、今の彼があるのだろうか。