うげ……全っ然、食欲でねえ。
いつもならペロリと食べてしまう朝食もほとんど喉を通らない。
「あら、陵。食欲ないの?珍しいわね」
不思議そうな顔をする母さんの横で、姉貴が口を出した。
「あーあ。陵、やっちゃったねえ。お母さん、今日嵐来るよ。」
「わけわかんねえこと言ってんな、アホ。」
その一言でわめきだす姉貴。
関わるとやっかいになるから無視。もちろん今まで生きてきた経験から学んだ。
「っていうか、あんた今日どこ出掛けんの?」
「え。」
なんで、こういうときばっかり勘が鋭いんだよ〜。
「別にどこだっていいだろ。」
「ふーん。」


