「彼の言ったことは、ほぼ正解よ
あたしは誰にも邪魔されたくなかったし、殺されたかった……。」
諦めたように笑う冬香さんにあたしを含めて誰も声をかけようとしなかった
「きょうこ……確か前に言ったわよね
お母さんが教えてくれたなぞなぞのこと」
「え、えぇ。」
「この子達はもうその答えを見つけているんでしょ
今さら隠すことなんてないわよね」
「冬香……」
悲しそうな表情の長畑さんは、警官の顔ではなく友人を心配する人の顔だった
「あの言葉を教えてもらったとき、本当はすぐにわかったの
下弦の月が出ている日の11時45分、それはあたしがかあさんのおなかに宿ったときでもあり、2人が結婚を約束した日だったから
毎月下弦の月がでる日になると、母さんは必ずこの時計台のそばのベンチに来ていた
そしてその日の夜は、記念日の鐘がなるの
父さんが死んでも、父さんが残した鐘はいつでも祝福してくれた……」
遠くを見る冬香さんの目には涙がたまっていた


