「どうぞ。」
背が高く、ヒョロヒョロした女の人があたしたちを高そうなソファーへ促した。
「ありがとうございます。」
ふわふわとしたソファーに腰をかけてると、さらちゃんのお母さんはキッチンのほうにいってしまった。
「…………なんかあんまり似てないな。」
「え?」
まぁ、確かに似てるとは言いがたいけれど……
「お父さんのほうに似てるとか?」
「バーカ。あれ見てみろ。」
陵があごで指した物をみると、写真が飾ってあった。
さらちゃんは写っていないけれど、さらちゃんのお父さんと思われる人は、はっきりいって、さらちゃんには1つも似ているところがなかった。
ヒョロヒョロとしたお母さんに対し、お父さんのほうはでっぷりと太っていて、細い目から見える黒目がキラキラと光っていた。