秋野はお父さんとお母さんの遺体の隠し場所から始まり、聞いてもいない闇取引のことについてまで事細やかに説明してくれた
きっと、完全に殺すことで油断しきっているんだ
でもこちらとしては長引いてくれて損はない
あたしは黙って話を聞き続けた
「とまぁ、秋野グループの実態はこんなものだ」
「お見事。腐りきった人間の集まりだということがよくわかったわ」
「今のお前は何を言っても負け犬の遠吠えだ」
悪魔がよく言う
秋野グループの幹部は大体が闇取引に関与している
暴力団とも手を組んでいるのだからヤミ金だけでも十分に稼いでいるはず
あたしたちは常に監視されていたってわけね
「さらはあんたの正体を知っているのよ
どうして警察に駆け込まなかったのかわかる?」
「そんなもの、恐れていたからだろう」
「さらはそんな弱くないわ
さらはお母さんを探すためにあんたの正体を知っていながら、一緒に暮らしていたの」
「ふんっ」
くだらないといわんばかりに鼻をならした
「あんたは大人として、いいえ、人間として恥ずかしくないの?
年下のさらがこんな思いをして耐えているのに、あんたは高級なソファーにのけ反って、お札の勘定
あきれるわ」
「おい、まさか自分の今の立場を忘れたのか?」
そういった秋野の手にはナイフが握られていた


