「さらはともかくあたしのことは殺すんでしょう?」
「そのつもりだが?
それがなにか問題かな?」
「さらを自由にして」
こいつがそんなことするなんてこれっぽっちも思わない
ただ……せめて最期にさらの顔を見たい
もしわがままをいっていいのなら、11時45分まで生きたい
「あと、お母さんとお父さんの遺体はどこにあるのかも教えて」
「そんなこと知ってどうするんだ」
「幽霊になったら会いに行くのよ。ここでさ迷って客足が落ちてもいいの?」
あたしは大丈夫……
こうやって笑うことができるもの。
「それは困るなあ
ま、どうせ死ぬんだ。教えてやってもいい」
秋野の悪趣味な金時計が9時半をさしているのをあたしは確認した


