「兄貴!!まだ動かねぇのかよ!!」
「俺に聞くなっ
二車線巻き込んでの大事故だ
そうそう簡単に動くわけねえだろ!!」
「ちょっと!!兄弟げんかはやめてよっ」
岩瀬兄弟のけんかを止めるあたしは息をはいた
確かに陵の焦る気持ちはわからないわけではない
むしろみんな同じ気持ち
車は止まってからかれこれ1時間以上経っている
この間にも冬香さんにもしものことがあったら……っ
あたしの推理は七海の情報と繋げあわせると、ほとんど納得のいくものだった
だけど、同時にイヤな予感も的中することになる
長畑さんはジッと窓の外を睨んだまま動かなかった
「陵、とりあえず落ち着け
お前が焦っても事件は解決せえへん」
「……クソッ!!」


