「はぁ……何でフラれんのわかっててコクっちまったんだろ。」
相当気落ちしてんな……
こういうときのサンプルがないから、どういう風に声かけたらいいんかわからん。
「せやけど、どうするんや?
まだ事件だって解決してへんし、由比の返事だって「話聞いてたのかよ。
あいつには和樹先輩がいるんだって。」
それは完全にお前の勘違いや。
っていったとこでこいつが真に受けるわけないか。
「陵……お前そんたとこでくよくよしてたってどうにもならんし、どーせお前のことや。
諦めきれへんやろ。」
「う゛」
ピシッと石のように固まった陵は、しばらく一点を見つめ続けていた。
バシッ
「ぃでっ」
陵の頭に水平チョップを入れた俺。
「んな死んだ魚の目みたいな顔すんな。
大体どんだけヘコんでんねん。」
「七海とラブラブなお前に何がわかんだよ。」
こいつ……まぁ、否定はしねーけど。
どこのガキじゃ。
「陵くん♪
ここに由比の記憶をなくせるあめと、時間を巻き戻せるあめがあります☆
さ、どっち選ぶ?」
たまたま制服に入っていったあめをだした俺。
チラリと見た陵はあめから視線を外して俺に視線を向ける
「そんなあめはこの世にないし、俺はせこい手使ってまでやましい記憶なくすあめも、時間を戻すあめもいらない。」
なんや、わかってるやん。
「せやったら後悔すんな!!
お前のいう通り、記憶はなくせんし時間を戻すなんてありえへん。」


