「陵、キツくない?」 「何が?」 明らかにとぼける陵が可愛らしくみえる。 「なんでもない♪」 「変なやつ。」 思わずニヤニヤとするあたしに、陵はフッと目尻をさげる。 この時間がいつまでも続いてほしい。 陵といるこの時間がとても幸せだと感じた。 スーツを羽織った下にきているワイシャツは、第2ボタンまで外したままだ。 ちょうど目線を少しあげたところに陵の鎖骨と、胸元が少し見える。 なんか目のやり場に困るな……。 視線を足元に下げて、あたしは残りの時間を息苦しくない満員電車の中で過ごした。