病院で陵が傷口を見てもらっている間、あたしは自販機の前にいた。
色々なことがぐるぐると目まぐるしく回り、何から手をつけていいのかわからない。
ゴトンとお茶が落ちてあたしは中から取り出す。
ひんやりとした感覚が皮膚を刺激した。
『あなたたちは、あたしを見つけることなんかできない。』
風にのって声が聞こえてきた。
すぐに後ろを振り返る。
「誰もいない……。」
今のは気のせい?
でも確かに声が聞こえて……
そこであたしは頭をふって考えることをやめた。
「考えすぎか。」
きっと考えすぎて幻聴でもしたんだ。


