ペシ。
「痛っ。」
突然後ろから頭を叩かれて思わず頭が前に傾く。
その正体は後ろから腕を回した陵だった。
「謝んな。泣くな。
……で、お前こそケガしてねーか?」
「……うん。」
突然心配をされて一瞬答えるのに少し戸惑ってしまった。
しばらくの間沈黙が続いて、陵は気まずそうに頬を指でかく。
「あ、そういう陵こそケガ見せて!!」
「ばっ、触んな!!ちょっ、いっっった!!」
ぱっくりと開いた傷口は見るからに痛々しかった。
「早く病院にいかないと……」
「大したことねーよ。
それよりもあっちが……。」
そう言って陵は冬香さんのほうを見る。


