「私は彼女たちよりも先に施設に入っていたわ。
そして、あの日。まだ小さかった私たちが出会った。

前に話したときは同じクラスに転校生としてきた冬香を通じてさらちゃんと知り合ったって言ったわね……。

でもあれは実際は施設の中でのこと。


彼女はずっと2人で肩を寄せあって生きていた。

そして冬香は母親に教わった言葉を、私にだけ教えてくれたわ。
それが事件に関係あるのかわからないけど……。」


長畑さんはそこですこし顔をうつむかせた。



「長畑さん……。」


七海の声がやけに大きく聞こえた。






「……『施設へ預けられる前に、母から覚えていてほしいとメモを渡されたの。
─あなたのおじいちゃんは家系で最初で最後の外国人。
思いでの場所にわたしの思いがある。』そう言っていたわ。」



これといって関係があるようには思えない。


「でも冬香の記憶では、両親の親は日本人だったらしいわ。

そこだけは私もずっと引っ掛かっていたの。」






母親を覚えていてほしいのはともかく、おじいさんまで覚えていてほしいものなの……?




わからない……。