「それでさ、自分は無実だーって大騒ぎしているらしいよ。
事件が事件だからなかなか開放してくれないみたいだけどね。」
「それじゃ、長畑警部は自分が無実だと主張しているんですね?」
食い入る由比に警察の口元が緩むのを、俺はこほん、とわざとらしい咳で現実に戻させた。
「あ、ああ。他のやつの話によれば、机にふんぞり返って、逆に聴取をしているやつに説教してるってうわさもあったな。」
「「目に浮かぶ……」」
「ん?なんか言ったか?」
「や。何でも。あの、長畑警部はどこで事情聴取されているかご存知ですか?」
ここからが本題だ。
「ああ。確か第三聴取室だったな……あ、入り込もうとしたとこで無駄だぜ。
結構なお偉いさんが見えてたしな。その見張りの量も含めて、部外者がいったら、まず門前払いになるね。」
十分だ。これに近い状況は数えるくらいしかないけど、逆を取れば、もう何回か近い状況になったことがあるってことだ。
「ありがとうございました。」


