それじゃ、頑張ってくれ。



にこやかに手を振って立ち去る署長。
一体何を頑張れと?




「……はぁ。」


珍しくため息をつく陵。



「何?もう疲れたなんて言わせないわよ。」


「こんな人間がうじゃうじゃいるような警察署に入り込んだって考えると、いまさら気が重いね。」






何言ってんだか。先に言い出したのはそっちだろうに。



心の中でそんなことをつぶやいたあたしは、陵の少し多きいいメガネをかけ直した。







「まぁ、逆にとらえれば、こういう人たちばかりだから、早く目標を達成できるって考え方もあるって事ね。」


「ずいぶんと前向きだな。」


「まさか。正直こんなことで警察の厄介になるなんてごめんよ。
とっとと帰って、ゆっくり休みたいもんだわ。」