「いや~それはそれはご苦労さん。

でも、すまないねぇ。まだ全員の顔を覚えていないんだ。
岩瀬くんといったね?

名前は聞いたことがあるんだが……失礼だけど下の名前は?」




「岩瀬雅人です。」







そうか……こいつにはまだこの手があったか……。




「雅人、くん……あれ?君の顔はもっと大人っぽかったような……」


「やだなぁ、部長。
僕の部署に言わせは僕だけですよ。どちらと勘違いなさってるんですかぁ。


顔はそうころころ変わるもんじゃあるまいし。」



「それもそうだな。あっはっはっ!!
私にもとうとう老化が進んできたというわけか。」





すごい………ここまで嘘で人を言いくるめられるなんて。

ある意味才能だ。特技の欄があれば堂々と書けるよ……。




「それにしても今、うちの部署のヤツが事情聴取を受けているそうじゃないか。

こんなところでのんびりしていられるほど、君達に余裕はないんじゃないかな?」







いや、それはこっちにの台詞です……。





「あはは、所詮僕達は下っ端ですから。

泣いても喚いても何も出てこないことを向こうの警察はわかっているんですよ。


1分1秒無駄にはできない、みたいなね。」


「ほう。それなら私も同じだ。
1週間前に赴任してきたじじいに事件が関係してるとは到底思っていないようだ。」