「へー。ここが花ノ岡学園。意外に新しいな」
「そうだね。」
適当に返事をするのも、家からここまで来るのに約1時間弱。
なのに、なぜかこりない陵はどんどんと違う道を進み、結果的に迷うという行動を何度となく繰り返し、おかげで2時間以上かかった。
「さて。俺の出番がまわってきたかな。」
そう言った陵は庭で遊ぶ子どもを上手に避けていきながら、事務所らしきところに入っていく。
「ちょっと!!あたしはどうすればいいの!?」
「あー、いいよ。
そこで待っとけって。」
屈託のない笑顔をあたしに残して陵の体はドアの向こうに吸い込まれていった。


