「ななな何で戻ってきてんの!?
し、しかも家に!!」




陵に指を向けながら、あたしは口がパクパクしてうまく言葉が続かなかった。




「ホームズにはワトソン、だろ?」






つまり奴隷が必要ってワケか。







「でもわざわざ家にくる必要ないでしょ。」


「ほらほら、意地悪しないの。
陵くん、上がってね。」





リビングから出てきたお母さんに叱られ、あたしはブスッとしたまま道をあけた。







「わりー、わりー。
母さんたち旅行いっちまって、姉ちゃんも彼氏ん家っぽくってさ。

家あいてねーんだよ。」





ずかずかと自分の家のように入る陵。

でも靴はしっかりと揃えていた。





「家の合カギとかは?」


「寮生で家にもほとんど帰らない息子にカギ持たせるほどバカじゃないみたいでね。

しかも変なとこで忘れっぽい性格もしっかり理解してやがる。」





苦々しく顔に出す陵は、リビングには入らず、あたしの部屋へ向かっていた。