僕の執事 完結編

天使が舞い降りた。
なんて表現おかしいけど、別人に見えて少し不安になった。
心の奥を誰かにギュッと掴まれたみたいに痛む胸と、妙に切なくなった空気を消し去った。


「陸…?」


名前を呼ばれ、思わず葵目を逸らした。


「なに聞いてるんですか?」


『ん?』


曲の隙間から聞こえる声に、イヤホンを外したら聞き返す前にイヤホンを奪われた。


「あっ…CMの?」


俺はその質問に軽く頷いた。 ベンチを少しずれ、隣に葵を座らせその優しい音色にジッと耳を澄ませた。
スノースマイルが終わりシャッフルされて、流れたflumpoolの見つめていたいが俺と葵を優しく包んだ。


「…お母さん変わってなかったよ。 お帰り!って、笑顔で出迎えてくれた。」


『そっか…』


「私の部屋もね、あの日のままだった。
懐かしいんだけど、なんか今の私はこの部屋に相応しくないんだ。って思っちゃった。」


淡々と話す葵の口から、敬語が消えてるのに気づいた時、妙に嬉しくなった。


「あの部屋には過去の自分が住んでて、今の自分が居ないの。
凄く不思議な気分だった。自分の家なのに、他人の家に上がり込んで勝手に部屋を覗いてるような…そんな感覚。
分かりにくくてごめんね。」