「あ、あの…慎一さんは?」


「あ、こっちだよー。眠ってるみたい。」


ドアを開けると、部屋で眠っている慎一さんがいた。
私は慎一さんのオデコに手をあてた。


「ほんとだ…熱いですね」


「でしょー?
慎ちゃん、風邪あんまひかないらしいんだけどね」


「そうなんですか…。
とりあえず、ヒエピタ買ってきたんで、貼っておきますね。」


ヒエピタを貼ると、慎一さんはくすぐったそうに動いた。
起こしてしまった、と焦ったが、ただ動いただけだった。


「えっと…おかゆ作りたいんで、台所貸してもらってもいいですか?」


「いいよー。使ってつかって!」


慎一さんの部屋の扉を閉めて、台所に向かった。
お昼から仕事の裕貴さんは、仕事に行く準備を始めていた。



「…なんでお前がここにおんねん?」


慎一さんの部屋のドアが開き、
真っ赤な顔をした慎一さんがリビングに足を伸ばした。


「駄目だよー。慎ちゃん。寝てないと」


裕貴さんは飲んでいたコーヒーをテーブルに置いて慎一さんに近付いた。


「…お前やろ?裕貴。余計な事しやがって」


「えー?なにがあ?」


しらばっくれる裕貴さん。
頭の付近にはお花が散らばっているイメージ映像が浮かんだ。


「慎一さん?迷惑…ですか?」


私はシュンとなって、ネギを持ったまま慎一さんの方を向いた。


「や、そうちゃうけどな。
こんな朝早くから、しんどいやろ?風邪もうつったら悪いしな」


そう言って咳をする慎一さん。