愛は要らない



その夜は、確かに遥は帰ってきた

日付も変わる時間帯に


「待ってた、という感じではないね」


ベッドで本を読む妻に、遥は笑いかける


「私は大体、このくらいまで起きてますから」

「悪いんだけど、パジャマ取ってくるかな?」


綾野は立ち上がり、クローゼットから白いシルクのパジャマを取り出す


「ありがとう」

「・・・・・・・・・・・・」

「どうかした?」


綾野がじ・・・っと遥を見つめている