ペチン・・・ 頭を軽く叩かれて、遥の顔に弱い笑みが浮かぶ 「人を好きになる、愛するという事は難しい。会社を経営するより、遥かにな。だが、愛さずにはいられない。・・・・・・分かるな?」 丈之助は、遥の手からグラスを受け取ると、静かに部屋を出ていった 「愛は要らない、か・・・」 誓約書に書いた内容が、今更ながらに馬鹿馬鹿しく思えた 「・・・・・・綾野、君がいないとこの部屋はこんなにも静かで、広いんだね」