涙は出ない あの女性なら、納得だ 綺麗で、賢そうで、綾野よりも大人 「昔のことだよ」 「・・・・・・分かってます。じゃあ・・・」 エレベーターが止まって、綾野は遥に一瞬笑いかけて、すぐに背を向けた 専務室で、結子の淹れたコーヒーを飲みながら、楓は考え込む 「あの子が、ね。・・・若いだけね」 「・・・・・・先輩」 結子に笑いかける楓に、思わず目を逸らす 「今までのことは許してあげる。遥と寝たこととか、ね」