愛は要らない



店員の男性が差し出したのは、見事なサーモンピンクのドレス

派手なように見えて、上品なドレスは、綾野の顔を曇らせた


「素晴らしいわ。これにしましょう」


明るく、舞子がドレスを手にとる


「奥様・・・。私、スーツで構いませんから・・・」

「ダメですよ、綾野さん。私の年になった頃には、嫌になるくらい着物やスーツを着ることになるのだから・・・」


どうやら、舞子は着物が好きではないらしい

仕方がなく、着ているのだろうか?