運転手が、車のドアを開ける


「行ってくるよ、綾野」


走り去る車を見送って、綾野はフゥ・・・と息を漏らす


「綾野さん?」

「・・・・・・奥様?」


今日は着物ではないのか、とそんなことを思う


「遥を見送っていたのね?」

「はい・・・」


物腰や雰囲気などが柔らかい舞子は、確かに遥と似ている


「朝食を一緒に、どうかしら?」

「構いませんけど・・・」

「嬉しいわ。夫も遥も、仕事仕事で・・・」


舞子と歩き出せば、どこか時間がゆっくりと感じてしまう