愛は要らない



立ち上がる綾野は、一度も遥を見なかった


「喧嘩の原因はなんだ?」

「些細なことだよ」


遥はコーヒーだけ飲んで、会社へと向かった




専務室のソファーに座って、遥は引き出しの中の煙草を忌々しげに見つめる

まさか、煙草一本吸っただけであんなことになるなんて・・・


「専務?」


結子が書類を持って、遥を呼ぶ


「どうかしましたか?」

「綾野を怒らせてしまってね」

「・・・意外です。あの奥様が、どんなことでお怒りに?」