囁くように、遥が綾野に問いかける


「まぁ、本来なら・・・」

「君が面接に来た日、僕が君を見つけなければ、今頃僕は堅苦しい結婚生活を送ることになってただろうね」


楽しそうなのは、遥だけ

綾野はどこか、呆れている


「大学進学のための費用を稼ぐために、西園寺家の使用人面接を受けに来たのに、貴方と結婚するなんて・・・。想定の範囲外でした」

「ちゃんと約束したんだから、恨みっこなしだよ?結婚生活が落ち着けば、きちんと大学に通わせるし、費用も全額払う」