「な?
サラのベッドよりは
広いだろ?」

私を部屋に通して、
彼はいう。


「ふたりで寝ようとするから
狭いんだって。
あれで、十分だもん。」

「あ。わかってないな。
歌い手の自室だよ?
防音完備だぜ。
どんだけ声だしても
大丈夫だよ。」

志央は、
イタズラな眼をしていう。


・・ええ、確かに、

私の声はでかいわよ・・・


お聞かせする事は
ないと、思いますが。


「全く、貴方というヒトは・・
ほどほどにね。」

あきれて溜息がでた。


「サラが初めてだよ。
ここへ来たオンナは。
他は連れてくる気、
いまのところはないから。」

「今のところって・・・」

正直モノめ。
閉口した。

「だって、そうじゃん?
ボランティアじゃないんだから
俺と同じベクトル
持ってない子といたんじゃ、
虚しいだけだろ。」

「同じベクトル?」


聞き返すと、彼は
単語の解説をしてくれたが
私が聞きたかったのは、
そうではなく、
彼の示す方向を
聞きたかったわけで。

そういうと、

「ああ、そうだな。
ちゃんと言っておいた方が
いいよな。」


彼は、そう前置きして
私の目をみた。