『縛』

「そもそも、サラって、
他人に、あんまり
興味ないだろ?」

ほら・・・

やっぱり、痛いところ
突いてくるんだから。

迷惑かけないし、
放っておいてよね・・・。

「そんな事ないよ。」

それだけ返す。

「俺も、元来、他人には
あんまり自分に踏み込んで
ほしくない方だけどね。

サラのは、ちょっと
異常だな。

美穂に興味もったみたいに、
俺にも、少しは、
そういうの持ってよ。」

返す言葉が出てこない。

彼は、私の事を、
知らないはずなのに。

当然、佐伯さんだって、
私の事を、詳しく
しらないはずだ。

彼は、

なにかを

見抜いて
いるんだろうか?


最初からそうだけど、
結構、的確に、
言い当ててくる。


「サラ。」

不意に名を呼ばれ、
彼の方をみた。

彼が、また
私の手首を掴む。

彼の指先が、
肌に少し食い込む程度の
力をこめた事を感じる。


「痛いよ。志央・・・」


この痛みを、

体が覚え始めた。


甘い・・・痛みに

なりはじめる。


「難しい事は、
考えなくていいから、
俺に、興味持ってよ。


サラ、俺の事、

好きになって。」


志央の言葉が、



すうっと入った。