『縛』

「ほんとだ。ごめんなさい
何でもないの。」

彼女はいう。

慌てて笑みを作った彼女は、
深入りするなと、
その芯の強い瞳で、
訴えてきた。

「そう、ならいいんだ。
邪魔してごめん。」

俺も、面倒に関わるのは
ゴメンだし、
立ち去ろうとした。

が、

数人の小走りに駆ける足音と、
女の子の、甲高い
興奮気味な声が聞こえる。


「ほんとに見たの?!」

「見たよ!!
あれ、絶対カルディナの
志央だって!」

「マジ?!
まだ、居るよね?!
そんな、間あいてないし!」