「じゃあ、返すよ。」

データを読み取って、
彼女に携帯電話を返した。

直ぐに、発信ボタンを押す。

「えっ?!
もう読み取ったの?!
ホンットに、
油断ならないんだからっ!」

「いいから、登録しとけって。
これから、頻繁に会うんだし。」

ちょっと、本気モードで
怒りかけたサラに、そういうと
微妙な顔をして、
視線をそらせた。


そんなに、俺が、
信用できないのかよ。


ムカつく・・・。


「ほら、いくぞ。」
車を降りるように促した。


「やっぱ、寒いな・・。」

独りごちる。

「のど、冷やすから。
コレ、使って。」

サラが、自分のマフラーを
巻いてくれた。


モノトーンのソレは、

彼女の香りがして、


昨日、抱きしめられた
感覚を思い出す。


彼女に近づき、抱き寄せ
耳元に口づける。

「ここの、1005号室ね。」

自分の、部屋番号を教えた。

「あ・・うん。」


彼女は、クスッと笑みを浮かべ
もっと、ロマンチックなコト、
いうのかと思ったという。


「言うか。バーカ。」

舌をだす。

お前になんて・・・