『縛』

「佐伯さん、
信用してないのね。」

サラが、苦笑した。

「お前も、してないでしょ。」

人の事、笑ってるどころじゃ
ないだろ。

このオンナは・・・。

「志央の人間性っていうのは、
信用できると思うよ。」


彼女は、これで送るよ?
って言って、作文の内容を
俺に見せた。


「昨日、今日で、
何がわかるんだよ。
ま、メールは、これで
いいんじゃない。送るよ?」

言って、送信ボタンを押した。

サラが手をさしだす。

「舐めろってコト?」

「バカモノ。
携帯返して、って意味よ。
これでも、私、人を見る目は、
結構あるんだからね。」

サラの掌に、携帯を戻しかけて
連絡先を聞き出すチャンスだと
気付いた。

「連絡先、交換してもいい?
俺を信用できるんだから、
いいよな?」

勝手な理屈で、
赤外線通信を設定する。

「ダメ。人間としては、
信用してるけど、
男としては、怪しいから。」

彼女が、携帯を
奪いとろうとする。

「怪しいって、何だよ?」

「私、オトコ見る目は、
あんまりないから。
だから、ダメ。」

って、今更、傷つくタイプでも
ないだろうに。