『縛』

「ねえ。本当に、電話、
でなくていいの・・?」

サラが、俺の頬に、
掌をあてがい言った。


本来は・・・
でるべきなんだろう
けどな・・・

「本当に、出てほしい?
他のオンナと遊べばいいって
思ってんの?」

言って、サラの唇を再び塞ぎ
舌先で、唇を割開く。

「どうなんだよ?サラ」

舌を絡めながら問う。
彼女も、一瞬、
それに応えかけた。

が、

「痛ッ」

彼女から、体を離す。



コイツ・・・
舌、噛みやがった



「歌手だから、遠慮して
軽く噛んだんだからね。
自分の人間関係なんだから
どうするかは、自分で決めて。

私は、佐伯さんに
メールするんだから。」


益々、遅くなっちゃう
じゃないって、いいながら、
サラは、文章を入力
しはじめた。

「ちょっと、二人で
飲みに行って帰るって、
打っとけ。」

俺は、ムクれながらいった。

「こんな時間から、お店、
開いてるの?」


ルームミラーで、
重大な怪我になってないか、
舌先を確認する。

「嘘も方便だよ。
アイツの事だから、
フツーに別れたっていっても、
間違いなく電話かかってくるから。」