『縛』

「また、高そうなマンションね・・・。」

顔がひきつりそう。


同じ給料で住めるとは、
到底おもえない。


「あん?親の持ちモンだもん。
基本、ロンドン暮らしだから、
美穂一人だけどな。」

志央は、そういいながら
インターフォンのボタンを
押した。

「すごーい。
万全のセキュリティね。」

開いたドアをくぐる彼に
付いていきつつ、
二度目のため息をついた。

「この位なら、あるでしょ?
サラん家はないわけ?」

「ないよ。
階段のぼった突き当たりまで
スルーよ。」

そういう事に、あんまり
必要性を感じない。

幸か不幸か、危ないめに
あわずに来たから、
余計に・・だ。

「マジ?!一人暮らしだろ?!
あぶねーよ。」

「そんなことないよ。
こうして無事に過ごして
ますから。」

エレベータに乗り込む。

15階って・・・?!
志央が押したボタンを見て驚く。

その後、いくつかの階ボタンを
押して、彼は、フロアを、
カムフラージュした。

「あんな奴でも、
兄弟みたいに育ってきたからね。
なんかあったら困るだろ?」

私の視線に気付き、
彼は説明した。