『縛』

平日の夕方の店内は、
まだ、客もマバラだ。

掘り出し物さがしには、
まさに、おあつらえ向き。


コアなアルバムが、そろってる
この店は、アーティスト客も
多くいる。

中古品の買い取りの腕も、
相当いい。

この間来たときは、
コウジさんに遭遇して、
そんな話をしたのを覚えてる。

入店程なくで、宝さがしに
集中してしまい、すこし
通路に迫り出し過ぎた事を
知ったのは、背後を他の客が
通過したから。


ぶつからない様に、少し
通路幅を譲った。


「こんばんは。」


カウンターに向かって、
その客が声をかける。


「お!サラちゃん!
査定でたよ。」

店主の中年の男が、
にこやかに言った。

「お兄ちゃんに聞いた。
ねえ、どんなかんじ?」

彼女が問う。

ちょっと焦げ茶のかかった、
ロングのくせ毛。

ヒールのせいもあるだろうが、
結構身長が高い。

170センチくらいだろう。
俺の肩ほどの背丈で、
スタイルがいいせいか、
ロングコートにも、
着られず様になっている。