ちょっと暑い風が、
リビングの窓から、
ふんわりカーテンを押し上げ
入ってくる。


窓から見える入道雲は、
もう、夏が近づいてると
知らせている。


サラと二人、
勾玉を組み合わせた
陰陽の様に、
カーペットに転がり、
まどろむ。


マンションの
窓から見る空は、
切り取られた真っ青な
イラストの様で。


サラの茶色の髪が
彼女の頬にかかって、
光線に輝いている。


そっと指を伸ばして
髪をかきあげると、
すっと瞼を開けた。


「どうしたの?」


彼女が、
クスッと笑んだ。


「いや、別に。」

目線を反らす。


「コラ、
眼をみなきゃ・・
でしょ?」


彼女は、
触れるほど近くにある
俺の鼻先を
キュッとつまんだ。

「いってーな。」

「オーバーなんだから。」

ふざけあいの中で
触れた両手が
自然につながった。