フロントガラスに
水滴がはじける。


雨・・・だ。



サラといるときは
いつも晴れ。

雨なんて逢った事もない。


なのに、急速に
雨脚は強まって・・・

さっきまで、
生暖かい空気が充満してたから
雨が降りそうモノなのに。


こんな、
くだらない偶然まで、
アイツがいないせいだと
思ってしまう。


ダメ・・・
ココロが折れそう。


車を歩道に寄せ、
ブレーキを踏み、
ハンドルに突っ伏した。


と、その瞬間、
携帯電話が着信を告げた。


紫のLED・・・
メンバーか・・・


電話を手にとる。

中指と薬指で、
シェルを開けば、
着信は途絶え、
時間は午前三時を
指していた。


コウジさん・・・また、飲みに
いってんだろうな。

念のため、
かけ直す事にしたけど、
指が動かなかった。


再び、手の中の携帯が
振動する。


・・・・ニーノ・・・。


腹ん中で
激しく嫉妬が渦まく。


でも・・・

「Hello・・・」

受話ボタンを押して、
力無く応答した。


『ぁあ?寝てんのかよ?』

残念そうな声。