『縛』

 
「サラ。何か、作って。
俺も、手伝うから。」

何となく、黙り込んだ私に
彼がいう。

気を遣ってくれてるんだろう。


二人で冷蔵庫を
覗きこむ。


「すげーよな。」

彼が、感慨深げにつぶやき、
そちらに視線を送った。


「ん?俺、ハイスクールから
一人で住んでたけど、
冷蔵庫に、酒以外のモノって、
入れた事ねーの。」

「どんな、生活してたのよ?」

思わず、突っ込む。

「聞きたい?
他の女の話、
いっぱいでてくるよ?」

「じゃあ、聞かない。」

自分の事は、散々キツイ話を、
聞かせてしまったのに。


私って・・・心が狭いんだ。


「ヤキモチ焼き。」

志央は、クスッと笑って、
頬にキスをした。


「うるさいよ・・・。」


バレバレじゃない。

なんだか恥ずかしくなって、
野菜の下処理をすると
見せ掛けて、俯いた。


「俺がハイスクールん時に、
両親が、アメリカに戻ってね。
俺は、音楽的に、
こっちのマーケットの方が
需要があるって思ったから、
残ったんだ。」

志央が、作業を
見守りながら話しだした。