何となく眼が冴えたので、
そのまま入浴し、
部屋に戻ると、
志央が眠っていた。


私のベッドで、
静かな寝息をたてる彼を、
不思議な気分で、しばし
眺めていた。


睡眠中は、

みんな、
こんな穏やかな表情で
眠るものなんだろうか?


そこに、不安もなく

不満も淋しさも
何もなく


ただ穏やかで。



まだ、乾ききってない髪。


血色のいい唇


この唇から、
声が溢れるんだ。



優しくて


冷たくて

わがままで



切ないコトバが。



「おやすみ。」



すっかり、太陽は昇ったけど、
眠り耽る彼に、
そう、声をかけて、


寝室をあとにした。