ピロティー式の駐車場に
一人残された私は、
ぼうっと、今後の事を
考えていた。

テナント案内の
インフォメーションに
目をやる。

比較的大きなビルで、
数社テナントが
入っているようだ。

「・・・え?」

一軒の社名に眼をうばわれた。

友田企画株式会社・・・

これって、
カルディナの事務所?!


松井志央・・・か。


私、気持ちどころか、
名前すら知らなかった。

そういや昔から、
好きな子の血液型とか、
調べた事なかったんだ。

何にも知らないんだ。
彼の事を。

もちろん、その逆も
いえるけど。

少なくとも、志央は、
私を知ろうとしてくれていた。

心を閉ざし続けたのは
一方的に私だ。


携帯電話を取り出す。

『ゴメンね』を、
いうために。



迷わないうちに、
メッセージを打ち込んだ。


「お待たせしました。」

にこやかな表情で、
佐伯さんが戻って来て、


同時に、私は、
メッセージを送信した。