「志央・・・?」



彼は、青い瞳を守るために、
かけていたサングラスを、
外していた。



『俺、行くよ・・

フランソワ』



真っ青な空を


彼は見上げて、
呟くように言った。



耐えるように、

瞳にたまっていた涙が、

閉じた瞼と共に
頬を、伝っていった。



志央・・・?


何だか、
ちゃんと声が出なくて、
ただ、親指で
涙の跡を拭う彼を
みつめるだけだった。


「サラ。行こう。」


志央は、いって
手をさしのべる。


「私でいいの・・・?」


それが、


単純に、

車に戻ろうって、
言ったんじゃないような
気がして、
思わず問うていた。


自分自身が
理解しえない言葉。


彼は、一瞬、停止した。


が、


「ああ。サラだから、
一緒に行くんだよ。」


そういって、
手首を掴んで自分のほうに
引き寄せ、抱きしめる。



「まだ、お前に会って

一週間もたってないんだけどね

俺、マジで、サラの事、
好きだよ。」


肩に埋められた額。

まだ、震える肩。


数日前に、
成り行きで抱きしめた彼が


愛おしかった。