「…終わり!!
誰が見ても、鋼柳の勝ちだな
鋼柳、離してやれ
傷の手当てをしないとな…」
今までずっと黙ってみていた所長が手を打ち鳴らしながら近づいてくる
俺は啓汰に袖を留めているナイフを抜き、啓汰を立たせる
「…ハァ……
また負けた…」
肩を落として、自分が投げたなナイフを拾いに行く啓汰に声をかける
「大丈夫か?」
今までは、お互い全力でやりあったことはなかったから傷なんてつけたこともつけられたこともなかった
「ん?
あぁ…このぐらいなら大丈夫」
ニカッと笑ってみせる啓汰
俺は鞘を取り、刀をジッと見る
「刃こぼれしたか?」
そんな俺を見て、啓汰は心配そうに声をかけてくる
「いや…大丈夫みたいだ……」

