薔薇の王女

***


「おい、セシル落ち着け。」

ポンッとアイク隊長に肩を叩かれ正気に戻った。でなければ今の男を切っていただろう、俺の目の前でクレア様を口説こうとするとは……

「お前、クレア様が大切なのは分かってるが男の嫉妬は見苦しいぞ。」

やれやれと言わんばかりに頭を振る隊長、この人に隠し事なんてやはり無理だ。

「気をつけます。俺そんなに変でしたか?」

顔には出さない派なんだが





「殺気が凄かったぞ、もう少し落ち着け。」






未熟者だ。俺は。


とりあえず酒場に向かおう。クレア様の後ろについていき海沿いの通路を歩く、漁の準備をしている者や帰って来た者で港はあふれている。


そんな様子を横目に進むと一際大きな酒場に着いた。