船が着き、私は侍女達を後ろに王子を待つ
まずは兵士が出て来て縦に並び道を作る
次に豪華に着飾った侍女が出てきて
最後にフェリンペ王子が船から姿を現した。金の糸で豪華に刺繍された赤い上着に短く先が尖ったズボン、膨らんでるのはこの国と同じみたい
「スペインより我が国にへようこそ。お待ちしておりましたフェリンペ王子様」
「あ!君がクレア王女様かい?わざわざ迎えに来てくれたんだ」
ニコリと笑う王子の顔は
この場にいる女性を全て虜にしてしまいそうな笑みだった
私はちっともドキリもクサリも何もなかったけど
やっぱセシルが一番カッコいいな
じゃなくて私!!
「スペインより長い船旅だと聞いております、我が国の城に参りましょう」
「ああ、そうだね。メアリ女王にも会わないと!僕の花嫁にね」
「でもその前に…」
「どうしましたーー」
ギュッ
抱きしめられてしまった
突然だったからすぐに反応出来ず、三秒くらいしてから
「フェリンペ王子様?」
「いゃあ、ごめんね?あまりにも…」
ポンポンと背中を叩くと私から離れ
自身の黒髪の前髪をかきあげると
「我がスペイン王室を侮辱した女の娘が可愛くてね」
笑みを浮かべているけれど、目が笑っていないのが分かった
この人も私の母を
何ともいえない空気が流れ周りも何も言えず
ただ波の音だけが響く


