薔薇の王女

涙を拭こうと背をむけ服の袖で拭こうとしたら・・

クイッ

セシルさんに腕を捕まれ、私はまた心臓の鼓動が速くなるのが分かった。

捕まれただけでこんなにドキドキするなんて

私今日はなんか調子おかしいのかな?

腕を掴んだまま何も言わないから困ってしまう・・・


「あなたが――『クレアって読んで』

私は言葉を遮り言う。だってなんだかあなただと寂しいって思ってしまうから。

「クレア様が強くなりたいって気持ちは分かった。ただ俺の前では無理をするな、そんな泣きそうな顔をされると・・・」

セシルさんには敵わない、何もかもお見通しなんだね。

「ありがとう。本当にその言葉だけで嬉しくて・・・泣かないって言ったのに私・・・」

駄目

もう涙が出てしまう!!


ギュッ


急に何か暖かい物に包まれて驚いた