薔薇の王女

セシルさんは頭を下げると城の奥へと行ってしまった

私は何も言わずその姿を見続けていた

何故かはわからないけど胸が少し苦しくなった

「クレア様?こちらでおりましたか、お茶席の準備が出来ましたのでこちらに…」

振り返るとエマが息を切らしながら立っていた、余程走ったのか顔が真っ赤になっていた

何だか少しリンゴみたいに見える…なんて事は口には出さなかったけど

少し笑ってしまった

「うん、分かったわエマ」

エマは、びっくりして顔を上げ

「クレア様?お声が?」

「後で話すわ、とりあえず案内してもらっていいかな?」

「かしこまりました、ではこちらに」