薔薇の王女

私はセシルさんの目を見て

「セシルさんにありがとうって言いたい…このまま別れたくないって思ったの、そしたら声が――」

その言葉が終わらないうちに私は抱きしめられた

セシルさん？


「辛くないのか？」

「え？どうして？」
「辛くないのかって、声を出すのが怖かったのだろ？それなのに俺のせいで声を出させる羽目になって」

違う違うよ

「ううん、違うの。私が自分の意思で声を出した、本当はもっと前から出したかったけど勇気がなかった…だから、私はあなたに感謝しているの」

「馬鹿野郎…」


そう小声で言ったのに私は気づかないまままた強く抱きしめられた







男の人に抱きしめられるのも生まれて初めてだったけどセシルさんに抱きしめられると気持ちが温かくなる

この気持ちは何？


私は自分の中で芽生えた初めての気持ちが何なのかまだ理解出来なかった